【市議会質疑応答】高すぎる国保税は一人一万円引き下げを(令和元年12月定例会 並木敏恵議員)

春日部市民の国保負担料は妥当なのか?

令和元年12月の定例会では、春日部市の国保料金の引き下げについて議論があった。

・2018年度の国保会計決算では6億7,413万円の黒字になったこと。
・春日部市国保加入者の平均所得103万円に対して国保税は1世帯平均14万2,996円で負担が大きいこと。
・所得ゼロでも負担する均等割が40歳以上で5万5,800円と県下で4番目に高いこと。

などを訴え、減額を要求する並木敏恵議員(日本共産党)

・余剰金は国への返還しなければならないこと。
・高齢化の進展・医療の高度化等により医療費が増えること。
・一定の所得以下の世帯には均等割額を軽減する制度が整備されており負担能力に応じた負担をしていること。
・春日部市の平成30年度の国保税額の1人当たりの平均税額は県内40市中で20番目であり重過ぎる負担であるとは考えていないこと。

と、春日部市側(健康保険部長)は真っ向から対立する回答だった。

低所得者の負担を軽減する制度について、所得いくらならどれくらいになるというモデルが示されなかった分、劣位にあるのは市だったと思う。

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黒字に転じた理由

並木敏恵議員
国保税1人当たり1万円の引き下げについてであります。9月に2018年度の国保会計決算を審議いたしました。何と6億7,413万円の黒字決算となりました。この年は一般会計から4億1,532万円の繰り入れがあり、それを差し引いても2億5,880万円の黒字です。かつてなかったことですから、私は大変驚きました。18年度は、国保都道府県単位化元年で、春日部では6年間かけて一般会計からの繰り入れをなくすということで、国保税の値上げが行われました。ところが、6年かけて解消する赤字は、初年度で一般会計からの繰り入れを差し引いても2億5,880万円黒字ということになりました。そもそもこの値上げは必要なかったということであります。

国保都道府県単位化は、国の責任の投げ捨て、国の思惑に基づいて県が国保財政を管理するというもので、市町村の自主性を損なうことから、私は、この制度には反対であります。しかし、都道府県単位化を行ってみたらば、所得水準や、医療費や年齢構成などから見て、春日部市は埼玉県内の他市から支援を受ける側になったと、こういうことが明らかになったわけであります。春日部市国保加入者の平均所得103万円に対して国保税は1世帯平均14万2,996円、余りに重過ぎるということであります。

日本共産党市議団は、毎年の予算修正案で国保税1人1万円の引き下げを提案してきました。これは所得がゼロであっても、どんなに大金持ちでも同じ金額がかかる均等割が県内トップクラスの高さで重過ぎることから、せめて県平均並みに引き下げるということを提案しているものであります。国保都道府県単位化では、こんな高い国保税は必要ないと、こういうことがわかったわけですから、均等割を県平均並みに1人1万円の引き下げをと改めて強く主張するものであります。

この大幅黒字に転じた理由はどういうことでしょうか。市としての分析をお答えください。

◎折原章哲 健康保険部長
平成30年度の決算につきましては、制度改革後初めての決算となり、国の公費拡充や、埼玉県が財政の責任主体になったことなどの影響により、法定外繰入金が減少するなど国保会計の安定化が図られてきたものと考えております。この平成30年度の繰越金6億7,000万円でございますが、このうち約1億7,000万円を一般会計返還分とし、残りの約5億円を基金に積み立てたところでございます。基金に積み立てた約5億円の使途でございますが、今後発生する、国、県への返還金分等として一時的に積み立てたものであり、この返還金につきましては、次年度における県への納付金に上乗せされ、返金するものでございます。このように今回の制度改革により、埼玉県が財政の責任主体になったこともあり、市町村の財政運営上の仕組みや枠組みなどが大きく変わりましたが、いずれにしましても平成30年度の繰越金6億7,000万円につきましては、既に使途は決まっていることから、単なる余剰分ではなく、国保会計が黒字に転じたものではございません。
以上でございます。

並木敏恵議員
2018年度の年度末に生じた6億7,413万円は、余剰金ではなくて、既に使途が決まっているというふうに今ご答弁をされたのですけれども、今基金に積み立てた、これがもう出先が決まっているということなのですか。もう少し詳しく説明してください。

◎折原章哲 健康保険部長
国、県への返還金につきましては、制度改革前は翌年度に全額を精算し、返金しておりましたが、制度改革後につきましては、翌年度の納付金に返還金が全額上乗せされるようになったため、一時的に基金を積み立てたものでございます。

並木敏恵議員
翌年度の納付金については、今現在幾ら納付しなくてはならないのかということは、県から通知は来ていないですよね。そういう中で、返還金についても、そこにまざってくるだろうから、5億円ものお金が来年、今年度よりも余分に出ていくはずなのだと、そういう根拠があるのですか。5億円もの返還金が来年は発生すると、翌年度は発生すると、そういう根拠があるのですか、もう一度お願いします。

折原章哲 健康保険部長
現在試算しているところによりますと、県への返還金が約7,000万円、国への返還金が約3億円というふうに試算しておりますが、ということで、今5億円というふうに計算しております。
以上でございます。

並木敏恵議員
根拠がどういうことかというふうにお伺いをいたしましたが、ちょっとその根拠が示されませんで、困っているところなのですけれども、今の試算という、そういう段階ということなのですか、それともきちんとした根拠があるわけなのですか、そういう通知が来たとか、例えば何の返還金が、これだけ生じているとか、根拠はあるのですか、もう一度お願いします。

◎折原章哲 健康保険部長
過去の実績を踏まえまして、今現在市で試算している状況でございます。
以上でございます。

並木敏恵議員
過去の実績を踏まえてということなのですが、その都道府県単位化が始まりましたのは、18年度ですから、その返還金の根拠というのが、私は全く今の時点で明らかになっていないというふうに言わざるを得ません。

これまでの国保は、それぞれ市町村で使った医療費を市町村が支払う、こういう仕組みでした。都道府県単位化というのは、都道府県がその全体で使った医療費を、埼玉でいえば埼玉県が全体で負担をする、こういう仕組みに変わったわけでありまして、ですから今回の6億7,000万円という黒字は、私はやはり所得の水準ですとか、かかった医療費ですとか、年齢構成ですとか、こういうものを、これは物すごく複雑な計算で、担当の職員の方も、この計算の仕方は、説明はできないというふうにおっしゃっておりますけれども、その複雑な計算の末に春日部市の負担水準が決まると、こういうものだと私は聞いております。来年返還しなくてはいけないお金が、今からわかるなんていうことは多分なくて、憶測の域を出ないというふうに思います。

その上で国保給付以外の事業もありますけれども、以前の国保会計の中心は医療費の支出が中心でありましたけれども、今は県への納付金と、これがかつての医療費にかわる中心的な支出になっているわけです。そして、この18年度決算してみた結果、今まで支払ってきた医療費よりも、ことしは県に納める、ことしではなくて18年度は県に納める納付金が、単純に言えば、ざっくり言えば、安くなったので、差し引き歳入と歳出の差が6億7,000万円になったと、こういうことだと思います。

春日部市民が使った医療費を春日部市民から納めた保険料で支払うという場合には、これは市民の皆さんにたくさんの負担をいただいてきたけれども、県全体で負担しましょうというふうになったら、春日部市さんは、そこまで納めなくてもいいですよ、こういうことになったわけですから、これは全県的に見れば、市民の負担能力が低いというふうな事実から、こういう納付金の金額になったのではないかというふうに思うわけですけれども、そこは部長、いかがですか。

◎折原章哲 健康保険部長
今回の国保制度改革により、本市の国保財政が従前と比較し、安定化が図られたのは、国の公費の拡充が大きく影響しているものと考えております。県内における財政支援の状況でございますが、現時点では公表されていないため、他市町村との比較は難しいところではありますが、国保加入者については、全国的に年齢構成や医療費水準が高く、所得水準が低いといった課題を抱えていることから、県内各市町村におきましても同様の実情のもと、財政支援を受けているものと捉えております。また、財政支援の基準でございますが、所得水準や被保険者数、医療費水準、さらには保健事業の各種取り組み状況など、それぞれの自治体の状況を総合的に勘案した上で決定されており、加入者の負担能力だけで支援の判断がされるものではございません。なお、国民健康保険制度は、低所得者世帯を含め一定の所得以下の世帯に対しまして均等割額を軽減する法定軽減制度がしっかりと整備されており、年々軽減対象も拡充されていることから、この制度を適用することで負担能力に応じた負担をいただいているものと認識しております。
以上でございます。

■国保の均等割は高いか、妥当か

並木敏恵議員
春日部市の国保が安定したのは、国からの支援が大きかったと。でも、国保会計というのは、全体として所得は低く、医療費は年齢が高いのが特徴なので、他の市町村も同様の財政支援を受けているのではなかろうかというのが、今の部長のご答弁だったのですが、予算に対して6億7,000万円も黒字になったのは、国から6億7,000万円相当もの支援が、今まで以上に受けられたからであって、都道府県単位化ということとは関係ないということが春日部市の認識なのでしょうか。

私は、これはちょっと違うのではなかろうかというふうに思います。9月に国保財政だけではなくて、一般会計も全て決算をしましたけれども、その中で埼玉県民の平均所得は年間1人当たり330万円、春日部市民の平均所得は年間300万円だと、こういうことが一般会計の決算の中でご答弁の一部にありました。

その埼玉県全体の中でも春日部市民の所得水準は低いということでありますから、国保加入者は県全体の中では低くないはずだという、そこにこそ私は根拠がないと思いますし、やはり年齢構成が高く、医療費はちょっと高いのかどうかわかりませんけれども、所得水準、それを所得する能力が低いということが、他市との比較の問題では、都道府県単位化に当たって、今回の黒字の一番大きな要因だったろうと私は思っているところです。

その点については、さらに深く市としても、なぜ6億7,000万円黒字になったのかということをしっかり分析していただきたいと思いますし、5億円については、すぐに返還しなくてはいけないのだと、そういう根拠についてもしっかり示してもらいたいというふうに思います。

その上で、春日部市民の所得は、他市にといいますか、県平均に比較をしますと、年間にして30万円も低いと、こういう中で春日部市民が所得にかかわらずに負担しなければならない国保の均等割というのは、これは余りに高いのです。春日部市の均等割は、前回のときにも私申し上げましたけれども、40歳以上ですと5万5,800円です。1人、所得にかかわらず。所得ゼロでも5万5,800円支払わなければならない、こういうことになっています。埼玉県内で均等割が一番高い自治体というのは、直近のデータでは川島町5万8,500円、2番目が鳩山町5万8,000円、3番目が宮代町5万6,900円、そして4番目が春日部市の5万5,800円と、こういう水準なのです。

ですから、私は、春日部市民の所得水準から見て、この均等割というのは、余りに高いと、こういう認識をまずもって持っていただきたいというふうに思います。

県平均が4万68円です。一番低いところは蕨市、1人2万円、これはただし4方式の課税になっていますから、資産割、平等割も、これ以外にかかっておりますので、2方式の課税の自治体だけで比較をいたしますと、一番低いのは草加市の3万6,200円ということであります。それでもやはりこの春日部市との比較でいえば2万円、年間1人2万円、4人家族でしたら8万円差があるわけですよ。この高さというのは、やはり非常に高いというふうに認識をしていただきたいと思いますけれども、その点では、他市との単純比較でも、これだけ高いわけですから、所得の低い方に本当に重くのしかかっている、この5万5,500円の均等割、部長の認識は高いというふうにはお思いになりませんか、お願いします。

◎折原章哲 健康保険部長
国民健康保険税につきましては、均等割額5万5,800円と所得割額の税率10.35%を乗じた額を合算したものが正確な税額となっておりますので、均等割額だけに着目し、比較や順位づけをすることには適当ではないと考えております。また、賦課方式におきましても、本市は2方式を採用しており、県内では4方式を採用している自治体もあることから、公平に比較することは難しいと考えているところでございます。なお、本市における平成30年度の国保税額の1人当たりの平均税額につきましては、県内40市中で20番目であり、県内の平均程度となっており、他市と比較し、重過ぎる負担であるとは考えておりません。さらに、先ほど答弁いたしましたが、一定基準以下の所得の世帯に対しましては、均等割額を軽減する法定軽減制度がしっかりと整備されており、この制度を適用することで、負担能力に応じたご負担をいただいているものと考えております。また、本市の均等割額は埼玉県から提示されます、標準保険税率と比較いたしますと、標準保険税率に比べ低い額となっております。これらのことから本市における保険税額につきましては、国民健康保険制度に基づいた上で被保険者の負担感を最大限考慮し、適切な税額に努めております。
以上でございます。

並木敏恵議員
部長の認識と市民の認識とは大きくかけ離れているということが、今はっきりしたと思います。市民の多くは、国保は重くて大変と、こういうふうにおっしゃっていますよ。特に60歳、定年退職をして、そして春日部市の国保に加入をされた、その方がこんなに国保税は高かったのかと初めて知ったと。その重さにびっくりするわけなのです。

ですから、この均等割という仕組みそのものが、社会保険などにはありませんから、1人頭で所得にかかわりなく課税をするという、このやり方が、私は本当に国保税を重くしている最大の要因だというふうに思っております。国保税が高いと市民が感じている、このことは部長の認識を改めていただきたいというふうに申し上げておきます。

春日部市の5万5,800円の、この均等割は、私ども日本共産党が提案しているように1人1万円引き下げていただきますと、4万5,800円になります。埼玉県の平均は、先ほど申し上げましたとおり、4万1,068円ですから、残念ながら私ども日本共産党、1万円の引き下げで県平均並みにというふうに考えておりましたけれども、1万円では、ちょっと届かないのですが、それでも越谷市4万5,000円、三郷市4万6,000円、さいたま市4万6,900円、ここの水準に1万円引き下げて、ようやっと近づくという、こういう水準ですよ、春日部市の均等割は。

所得割につきましては、ほぼ県平均並みです。ですから、やはり均等割が余りにも高過ぎるという、この認識を持っていただくと同時に、今回18年度の黒字が6億7,400万円という、こういう水準で黒字が出たわけですから、この機会に、やはり高過ぎる国保税を引き下げる、こういうことをぜひ検討していただきたいと思うわけなのです。

6億7,000万円黒字ですから、1人1万円引き下げに必要な財源は5億5,000万円なのですけれども、単純計算で引き算の問題として、これは十分引き下げができると私は思いますけれども、部長はいかがでしょうか。

◎折原章哲 健康保険部長
先ほども答弁しましたとおり、今回の積み立てを行った基金につきましては、国への返還金等に充てることから、余剰金とは考えておりません。本市の国保財政につきましては、法定外繰入金を補填し、運営していることから、現時点では赤字の状況でございます。また、今後も高齢化の進展や医療の高度化等により、大変厳しい状況が予測されることから、国保税の引き下げは極めて難しいものと考えております。
以上でございます。

並木敏恵議員
どこまでいっても部長との認識のずれが埋まらないという、そういうことがはっきりいたしました。

6億7,000万円、歳入のほうが歳出よりも多かったわけですから、これは黒字と呼ぶのですよ、普通は、一般的には。これは6億7,000万円プラスになっているのに赤字ですという、これは世間一般には通用しませんよ。どうしたらこれが赤字と言えるのか。その前に、市から繰り入れてもらった4億円を差し引いてもですよ、まだ2億円を超える黒字があるわけですから、来年以降国へ返さなくてはいけないとしても、それでもこれは決算上は黒字と呼ぶわけなのです。こういう黒字の状態で、まだ赤字なのですって、国保税はまだ必要ですって、これはちょっと庶民感覚とは余りにかけ離れているというふうに言わざるを得ません。

国民健康保険は、国民皆保険制度を支える社会保障制度の根幹であります。誰もが安心して医療を受けられる、その権利を保障する本当に大事な制度でありますけれども、現在春日部市は、24%、加入者の4分の1が滞納せざるを得ないと、高過ぎて払えないと、こういう状況になっているわけです。

負担能力に見合った国保税にすることで収納率が上がり、まさに国保財政は健全化を図ることができるというふうに思うわけでありまして、負担能力が全県の中でも低い、この春日部市民に対してですよ、負担能力にかかわりなくかける、この均等割が県内トップクラスに高い、ここにやはり春日部の課税の仕方に私は問題があるというふうに思いますから、ここについては再度、この6億円もの大幅黒字を生み出した今こそ再度、これまでの慣習にとらわれることなく国保財政のあり方再検討、そして国保税の均等割引き下げ、これを検討すべきだというふうに思いますけれども、もう一度ご答弁をお願いします。

◎折原章哲 健康保険部長
これまでの答弁でもお答えしましたとおり、国保制度改革に伴い、国、県におきましては、法定外繰入金を赤字として明確に定義づけし、解消を図っていくことを示しておりますので、本市におきましても、この考え方に基づき法定外繰入金の段階的な解消を目指すものでございます。また、被保険者の減少に伴い、税収は減少していく一方で高齢化の進展や医療の高度化などにより、1人当たりの医療費は増加していくことが予想されます。このことから、本市の国保財政におきましては、今後も厳しい状況が続くと考えており、持続可能で安定的な国民健康保険制度の運営が求められるところでございます。したがいまして、現時点での国保税の引き下げは極めて厳しいと考えておりますが、毎年度埼玉県から提示されます納付金額や標準保険税率、国保会計内での収支バランスを踏まえるとともに、社会情勢等を考慮した上で適切に対応してまいります。
以上でございます。

並木敏恵議員
部長との認識は、なかなかかみ合っていかないということが改めてわかりましたけれども、今後も引き続き国民皆保険制度を支える、この社会保障の根幹である、国保制度につきましては、市民の皆さんが安心して医療を受けられる、その権利を守れる社会保障制度として充実を図る立場で、引き続き提言をしてまいりたいと思いますが、再度そのことについては、社会保障制度としての国保を守っていただきたいとご要望しておきます。

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