【市議会質疑応答】新教育長について(令和元年6月定例会 松本浩一、小久保博史、山崎進議員)

新教育長に教育に対する基本姿勢を問う

2019年4月に新たな教育長が就任した。6月の議会では、鎌田亨新教育長への質問があったので取り上げる。子どもの教育をどう捉えているか、また市内の公教育は教育長の人事によってどんな影響があるのか、今後もチェックしていく問題ではないだろうか。6月議会では松本浩一議員(日本共産党)小久保博史議員(前進かすかべ。未来の会)山崎進議員(新政の会)の3名が6月5日に質問しているので、鎌田教育長への質問と答弁を抜粋する。

春日部市の教育に対する抱負、決意等について

松本浩一議員 インターネット中継はこちら
鎌田亨教育長がことしの3月議会で全会一致で承認をされ、この4月に就任をいたしました。教育長は、会議を招集し、議長の役割を果たすなど、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表するとともに教育委員会事務局や教育機関を統括するという重要な役割を担っております。
そこで、まず一括質問として、就任後最初の議会ですので、新教育長として就任に当たって、春日部市の教育に対するまず抱負、決意等についてお伺いをいたします。

◎鎌田亨教育長
就任に当たり、本市の教育行政のリーダーとなることについて、職責の重さ、期待されること、求められることの大きさを鑑み、身の引き締まる思いであり、しっかりと職責を果たしていくという強い決意を新たにしたところでございます。
私の教育長としての施策のキーワードは、継承と創造でございます。これまでの本市の教育行政の推進においては、学校教育、社会教育ともに成果を上げ、定着し、評価されてきた事業が数多くございます。このような事業は継続して取り組み、一層充実させていくことが重要であると考えております。一方、さまざまな課題への対応や国の動向など、教育を取り巻く環境や社会情勢の変化に適切に対応するため、事業の改善や新たに事業を展開し、取り組んでいくことも必要でございます。継承と創造について、幾つか具体的に申し上げます。初めに、学校教育についてでございますが、学校には長い間受け継がれてきた歴史と伝統、実績や特色がございます。このたびの学校再編により、5つの学校がその歴史に幕を閉じ、新たに2つの学校が誕生しましたが、新たな学校においても閉校となった地域の方々や卒業生の思いがあります。その思いを酌み取りながら、新たな学校の歴史を創造していくことが大切であると考えます。また、知徳体のバランスのとれた、未来に生きて働く力を育む児童生徒の育成は教育の不易の部分であり、確かな学力、豊かな心、健やかな体の育成について、かすかべっ子はぐくみプラン、春日部メソッドを継承、推進し、あらゆる教育活動を通してしっかりと取り組んでまいります。

一方、教育を取り巻く環境や社会情勢の変化の中にあって、学校間の連携や学校、家庭、地域との連携がますます重要になってきていると感じております。そこで、地域との連携をさらに充実させ、地域の特色を生かした小中一貫教育の推進に積極的に取り組んでまいります。公立学校の強みは地域を持っていること、地域の子供たちは、学校だけでなく、地域総がかりで育てていくという発想が必要でございます。地域との強い連携のもと、地域と一体となった魅力ある、特色ある学校づくりを推進してまいります。

 

次に、社会教育についてでございます。これまで約2カ月の間、スポーツ、レクリエーションや文化芸術に関する諸事業に顔を出させていただく機会が数多くございました。そこで感じるのは、幅広い年齢層の方々が生き生きと活動されている姿、また本市のさまざまな事業に役員として、ボランティアとしてご支援、ご協力をいただいている様子を目の当たりにし、感謝と敬意を表する次第でございます。人生100年時代と言われる中にあって、市民の皆様が生きがいを持って活躍できるように頑張っていかなければならないと感じたところでございます。

 

植竹前教育長は、春日部の子供たちが多方面に活躍できるのは、春日部の文化度の高さがあるからではないかと話していました。私もそのとおりであると思います。集う、学ぶ、結ぶ、つくる、探すという役割を持つ公民館運営を初め、本市が誇る芸術文化の推奨と促進、文化遺産の保護、保存、スポーツ、レクリエーション活動の推進などの事業に継承と創造の視点で取り組んでまいります。また、これまで培ってきた市長部局との連携や地域の皆様、各団体の皆様との連携、民間の活用につきましても一層充実させていく所存でございます。

 

学校教育と社会教育、それぞれの充実と連携により、第2次春日部市総合振興計画の基本目標である「子どもが幸せに育ち、生きる力をはぐくむまち」「市民が主役となって活躍し、生きがいを持てるまち」の実現に向けて、教育行政の充実発展に全力で取り組んでまいる所存です。

松本浩一議員
全国学力・学習状況調査についてお伺いします。いわゆる全国一斉学力調査であります。平成19年度から、小学校6年生と中学校3年生に対して全国学力・学習状況調査、いわゆる一斉学力テストが行われております。この目的等については、教育的な機会均等と教育水準の向上のために、児童生徒の学力、学習状況を把握、分析することによって教育の結果を検証して改善を図ると、こういうことが目的として実施されているわけです。

春日部市ではこれまで、調査の目的に沿って、学校の序列化や過度な競争等が生じないよう配慮するために結果の公表はしないということとしてまいりました。教育長の、全国学力・学習状況調査について、結果の公表についての考えを伺います。

◎鎌田亨教育長
全国学力・学習状況調査の結果についてでございますが、調査で測定できる数値は身についている学力の一部であり、本市の児童生徒はおおむね発達段階に応じた学力を身につけていると認識しております。本調査において大切なことは、分析結果を学校や家庭がしっかりと理解し、学力向上には何が必要であるかを考えていくことでございます。市町村別の結果を県が公表することへの同意については、これまでの対応を踏まえ、今後も慎重に検討してまいります。
以上でございます。

松本浩一議員
現在、春日部市では、全ての図書館、4館で指定管理者制度が導入されております。春日部市立図書館も加入している日本図書館協会は、我が国の今後の公立図書館の健全な発達を図る観点から、公立図書館の目的、役割、機能の基本を踏まえ、公立図書館への指定管理者制度の導入については基本的にはなじまないとの見解を表明しております。図書館行政と公立図書館における指定管理者制度の導入について、教育長のお考えをお伺いします。

◎鎌田亨教育長
図書館は、現代社会における知識と文化の有力な流通手段である図書等を収集、整理、保存し、さまざまなサービスを通じて住民の利用に供すること、そしてその教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とし、住民の生活課題や地域の課題解決のための支援、住民の自主的、自発的な学習活動を支援する役割を持つ重要な社会教育施設と認識しております。
本市では、市立図書館へ指定管理者制度を導入したことにより、読書通帳や電子書籍の貸し出しなど図書館サービスの充実や、小学校1年生を対象に本を1冊プレゼントするセカンドブック事業などを新たに実施し、さらに市民サービスを向上することができたものでございます。また、利用者アンケートにおいても高い評価をいただいているところでございます。今後も引き続き、指定管理者により市立図書館の管理運営を行い、より一層の市民サービスの向上を目指してまいります。

学力向上に向けた今後の方向性について

小久保博史議員 インターネット中継はこちら

学力向上に向けた今後の方向性についてお聞かせください。

◎鎌田亨教育長
確かな学力とは、知識や技能、思考力、判断力、表現力、そして学ぶ意欲が相互にかかわりながら補強し合っていくものであり、総合的かつバランスよく身につけさせ、質を高めていくことが重要と考えます。そのためには何といっても、教員が児童生徒の学力を把握し、指導力向上に努めることが大切であります。学力を把握する方法の一つとして全国学力・学習状況調査や埼玉県学力・学習状況調査がございますが、その結果をしっかりと分析し、指導、改善につなげることが大切であると考えております。なお、結果の公表につきましては、慎重に検討してまいりたいと考えております。児童生徒の学力向上のためには、教員の指導力の向上を一層図るとともに、子供たちのみずから学ぼうとする姿勢を育んでいくことも大切であると考えております。今議員からございましたように、そのためにも家庭学習の充実は大変重要なものであります。今後も、学校と家庭が一体となって子供たちの確かな学力を育成し、さらに春日部の子供たちのよさや取り柄を輝かせる教育を展開してまいりたいと思います。
以上でございます。

教育長の教育理念の心の教育について

山崎進議員 インターネット中継はこちら
現在の学校は、少子高齢化の中にあり、生徒数の減少により学校統合が進んでいます。17年前の武里団地地域の小学校4校から2校に統合されました。17年ぶりに、平成最後の年に武里南部地域の中学校2校の統合で春日部南中学校が開校、庄和北部では小学校2校と中学校1校の統合で新しい試みの小中一貫校の江戸川小中学校が開校しました。また、ICTを取り入れたパソコンやタブレットを使った教育、さらに小学校からの英語教育など、ここ数年、学校教育は大きく変化してきていると思います。この変化してきている学校教育をどのように見ているのか、まずはお伺いをします。
また、教育は、学校教育、社会教育、家庭教育などがあり、それぞれの教育が連携して教育の目的を達成していくことが理想と考えられていますが、新教育長の教育理念ともいうべき考え方を伺います。

さらに、現在はゆとり教育から脱ゆとり教育と言われていますが、脱ゆとり教育とは、ゆとり教育はやめると、こういうことですが、ゆとり教育がだめだったのか、それとも目的が達成できたのか、変わってきた背景には何があるのか、背景と内容について伺います。

◎鎌田亨教育長

教育に求められるものには不易と流行がありますが、人格の完成を目指し、知徳体のバランスのとれた児童生徒を育成することは学校教育の不易の目的であります。一方、少子高齢化、グローバル化、AI、人工知能などのICTの急速な技術革新など、社会情勢の変化に適切に対応し、未来に生きて働く力を児童生徒につけること、いわゆる流行の部分も大切と考えます。

 

これまでの学習指導要領改訂の変遷をたどってみましても、児童生徒に求められる学力の考え方も変わってきております。平成29年3月の学習指導要領の改訂においても、主体的、対話的で深い学びによる授業改善とともに、グローバル化、高度情報化に対応した教育課程の編成が色濃くあらわれており、タブレットなどICT機器を積極的に取り入れた授業づくりや小学校5年生からの英語の教科化の導入に至っているものと認識しております。本市の学校教育におきましても重要な課題と捉えており、これまでモデル校で取り組んでまいりました成果などを市内各学校に普及し、指導の充実を図ってまいりたいと考えております。

 

また、学校教育、社会教育、家庭教育の連携についてでございますが、教育は、家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、世間の教えで実がなるとは明治時代の「家庭心得」の一文ですが、時代がどのように変わろうとも、まずはそれぞれの役割をしっかり果たしていくことが大切であると考えております。しかしながら、近年、事件や事故を含め、児童生徒を取り巻く環境が大きく変化していく中にあって、安心安全が守られながら、児童生徒一人一人の能力と可能性を開花させ、豊かな心を育むことは学校教育だけで達成することは困難でございます。子供は地域の宝です。学校、家庭、地域社会がしっかりと連携、協力し、社会総がかりで児童生徒の教育に取り組んでいくことが大切であると考えます。あわせて、公立学校の強みは地域を持っていることという視点に立って、地域と一体となった特色ある学校づくりを推進してまいります。
以上でございます。

山崎進議員
心の教育の大切さについて、教育長の考え方を伺います。

◎鎌田亨教育長

学校は、子供たちが明るく笑顔で過ごし、瞳を輝かせて一生懸命頑張るところにならないと、そういうふうに思っております。いじめや不登校、自殺の問題など、子供たちが安全で安心して過ごすことが妨げられる状況があれば、それを一つ一つ取り除いていかなければなりません。ましてや、自他の命を尊重することは最も大切にしなければならないことであります。

 

私は、学力向上等ももちろんでございますが、心の教育に力を入れて、豊かな人間性を育む教育を推進していくことが重要であると考えます。道徳教育の充実を初め、学校の教育活動全体の中で、人と人とのかかわり合いを通して互いに認め合う環境を整え、規範意識の醸成、自己肯定感や自主性、協力的な態度を養い、生命のとうとさを自覚させるとともに思いやりの心を育てることが何より大切であると考えます。教育委員会といたしまして、心の教育の一層の充実に努めてまいります。

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