『親と子どもで読む本 素読のすすめ』(¥1,404)
文芸社 2019年1月1日刊
鈴木 絹江 植竹 英生 (著)
意味はわからなくてもいい。とにかくリズムを大切にして読んでみる
意味をわからずに闇雲に覚える勉強に意味はないといわれる。しかし、素読はわからなくてもいいから、とにかく読む。読んで、読んで、「目と耳と口で繰り返すことで意味をくみ取る力を養い、語彙を広げ、感性を育てる効用が期待できる」という。
本書では、論語をはじめ漢詩、古文、和歌、夏目漱石や芥川龍之介といった文豪の小説や詩歌が収められている。
どれもどこかで聞いたことがあるような言い回しだ。
たとえば、「学びて時にこれを習う」。これは論語の一節だ。原文と書き下し文は以下のとおりだ。
【原文】
子曰。 |
【書き下し文】
子曰く、 |
なんとなくリズムがかっこいい。
そして思ったより短い。これくらいなら何回か読めば覚えてしまえるだろう。
そうしたら、意味も自然とわかってくるだろう。
もちろん、本書にはその意味も丁寧に書かれている。
ページをめくると最初にあるのが伊與田覺氏の「素読のすすめ」という一文だ。
それが時あって、外に滲み出ると風韻となり、そういう人格を風格ともいうのです。
伊與田覺著「『大学』を素読する」から”
意識が高いといってはそれまでだが、読解力を高めるというのは、重要なことだろう。ひとつ声にだして、子どもと一緒に読んでみてはどうか。
ちなみに本書の著者である鈴木絹江氏は里仁・春日部『論語を学ぶ会』の代表であり、植竹英雄氏は春日部市教育長を務めている。鈴木氏は前書きで「私たち一人一人が春日部市のために何ができるかを考えなければならない」と思い、春日部に論語の火を灯そうと「論語を学ぶ会」を設立したという。